ひさびさに、一日中仕事をした。
寝る寸前まで仕事をした。ゴボーの皮むきをしたり、青果物の細かい仕分け作業をしたり、伝票を切ったり、昔は当たり前だった。夜は疲れをごまかすためワインをラッパ飲みしながら、なので懐かしかった。昔はこんなことが毎日だった。夜は酒で体をマヒさせて、仕事をするのが当たり前だった当時が懐かしく思える。あんな仕事を続けていたら、死んでいただろうなぁと思う。というか、自殺してるようなもんだったのかもしれないし。今はある程度時間的に余裕のある生活(暇なだけだが)になり、人間らしい生活がどれだけありがたいか、そう思う毎日であります。
先日、娘が卓球の試合でがんばったので、約束してしまっていたのと、ご褒美に焼肉屋さんに連れていった。大食いの娘と一緒にいったので、おあいそは6100円だった。お父さんは1万円札を出した。娘の前で、お父さんが1万円札を払う時、決まってやる儀式がある。その時もそれをやった。1万円札に頬づりしたり、指でなでなでしながら、万札に向かい、
「お別れだね、また逢おうね!また帰ってくるんだよ!待ってるからね!いつでも帰ってきていいんだからね!じゃーね!またねー! さ、君からもお別れをいいなさい! ほら!」
と、娘を見ると、思春期の女の子特有の汚いものを見るようなどぎつい目で、こちらを見ていた。以前なら、結構こういうネタに食いついてきたんだけれど、さすがに、あきれた表情でお父さんを見ていた。昔なら壷にはまってくれて、きゃっきゃとウケてくれたんだけど,通用しなくなってきたんだね。ま、しょうがないわね。
で、先日、参観日だった。音楽の時間、琴とリコーダーで「さくら」
演奏する時、男の子がリコーダーを吹きながら目をギョロギョロさせたりして回りを笑かそうとするので、回りの生徒はおかしさをこらえ切れない感じでの演奏。見てることらもつられておかしい。中2になると、男子はやっぱりおもしろい。でも調子に乗って暴走する子もいるんだろなぁと思う。未熟だから傷つくし、でも暴走するから、失敗して反省せざるを得なくなるし。
自分も中学生や高校生のことを思い出すとおもしろくて楽しかったんだけれども、穴があったら入りたくなる思い出ばかりで、はずかしい思い出はなぜか鮮明に覚えてる。胸をかきむしられるし、千切りにしてもらいたい衝動は今もよくある。それほど恥というものは鮮明に覚えている。若いときの恥はあきらかにトラウマとなり、今もそれに突き動かされる。失敗は財産になっているように思うが、恥は障害にしかなっていないような、ま、クソどうでもいい話題でした。
先日、2者面談があった。娘は高校でも卓球をやりたいみたいだ。お父さんは公式テニスをすすめている。高校に入ったら公式テニスをやってくれとお願いしているのだが、娘の意思は固いみたいだ。強い卓球部でなくてもいいらしい。人数が少なくて、一年生から試合に出してもらえるような部がベストらしい。だとしたら、現在志望している高校は部員が4人くらいしかいない。なので条件が最適なため、ぜひがんばって入学して欲しい。先生に志望校を告げた。高校へ行って卓球をしたいという旨も伝えた。志望校には推薦もあるため、来年推薦を希望してみようかと思うのだが、お父さんの認識は違っていた。もし万が一推薦で受かるなら、残りの受験勉強の時間を他の時間に有効に使えるため、ダメもとでも推薦万歳だと思っていたのだが、今時の推薦の発表は2月中旬くらいらしい。ということは、やはり、結局直前までは受験勉強をせねばならないのだと最近知った。甘かった。受験の年のその前年の年末までに結果が出るのではないかと思っていたら全然違った。
そろそろ高校のことも考えなくてはならない時期になってきた。どこの高校に行ってもいいが、何か運動部に入って欲しい、それがお父さんの願いである。でも、何度も親の期待を裏切るような行動をとるので実は覚悟している。
映画「靖国」を見た。
靖国参拝に反対する人間達の気持ちが初めて分かった。なんだか、非常によーく分かったような気がする。「参拝して何が悪いんだ、英霊に礼を尽くすのは当然だろ」くらいの認識しかなかったので、はずかしい気がした。
最近,娘は政治的な質問もしてくるようになってきた。「尖閣諸島?中国が欲しかったらあげればいいじゃん!」といいう具合なのだが、どちらかというと旧社会党みたいなことを言ってくる。お父さんは政治や宗教の話は苦手なので、子供にどう話をしていいのか、さっぱりわからないのである。
「欲しかったらあげればいいじゃん」は売国奴よばわりされるから、そんなこと言わない方がいいと、「なんで?」と切り返されると、うまく説明できないのである。
最近の子は左よりの先生の影響を少なからず受けてしまうみたいで、子供を真ん中に引き戻す作業はやっぱ親の重要な仕事の一つのような気がする。今の子供たちが大人になるころ、ベーシックインカムを掲げる政党に迷わず投票するようになるだろうという予感がするのは自分だけだろうか?
それと、日本人は自分の国のことをあまり責める必要はないのだということを説明したいのだが、やはりペリーの黒船から説明しなければならないことを思うと、気が遠くなる。そんな教養があるわけじゃないし。帝国列強やロシアの南下政策の脅威と常に戦ってきたことをどうやって説明しらたいいのだろう。日本が核を持つ必要はなく、核の研究チームだけ立ち上げるだけで、メイドインジャパンという仮想風船を打ち上げるだけで核を持っている国と同じ抑止力が働くようになるということを、それぐらい日本の潜在力は世界中で評価され脅威に思われていることを、どやって説明したらいいのか。日本人に生まれてよかったなぁと思ってくれるためにはどうしたらいいのかなぁ。
話は全然変わる、卓球です。またまた恐縮です。
12月19日、団体戦があった。参加チームは結構多い。「冬季対抗戦」。去年は石狩管内から来た西●別中が優勝している。石狩の中学がほんらいここの管内くんだりまでくるのは何故だか分からないが、ま、腕だめしというか道場破りみたいな感覚なのだろうか?。がしかし強い。半端なく強い。この館内のチームでは、まず勝てる中学はないだろう。試合の前日、興味の的はこの西●別中が参加するのかどうかだった。娘の卓球部の監督の携帯電話に一報が入ったらしい。
「明日、西●別中の参加は無し!」。
まるで大本営の暗号めいた打電のような連絡が入ったらしい。つーことは我が中学の優勝の目が少しだけ浮上した。
試合当日の話である。予選は4ブロックで、一ブロック5チームの総当り戦、2位までが決勝トーナメントに出場できる。娘のブロックは娘が属するチームを含め5校で総当たりで展開され、結果はなんと予選は全勝で1位通過。(強くなったなぁ)、その中の相手の一つトウ○○中Cは3軍チームだったと思う。おそらく一年生チームの選抜だろう。でも、ボールの反応のいい子ばかりだった。来年がとても楽しみな感じがした。来年間違いなく優勝候補になるだろう。
決勝トーナメント準々決勝はそのトウ○○中の1軍と対戦。大所帯のこのチームは、今日は、なんと3軍(計3チーム)まで出場している。トウ○○中Aは選抜の一軍である。
どこの中学のチームに言えることなのだろうが、大所帯の卓球チームというのは絶対数がいるため、選抜の一軍はそこそこ強い。強いのだが、多人数な卓球部ほど後輩が育たないのである。2年生の後半にならなければ選抜大会の試合経験をすることができない。なので修羅場の数が圧倒的に少なくなる。なので部活の人数が少なくて、中学入学時から一年生のホヤホヤから試合に出ている我がチームの方がメンタル面でも経験値的な面でも結果的には圧倒的に有利になる。それが大所帯卓球部と少人数卓球部の力の差になってしまう。
ちなみに、この町の大所帯卓球部は何校もあるのだが。この大所帯卓球部はどこもそこそこ強いのだが最近は決勝まで顔を出したことがない。大所帯卓球部の弱点なのである。部員が沢山いればよいということではないことがはっきり分かる。普通は大所帯の部活はどんなに強い1年生がいても、一軍に参加させることをしないというのが常道みたいなのである。先輩と後輩の力関係が壊れてしまうし、監督も一番気を使う部分だと思う。因みに娘の卓球部は学年ごとにフロワーも別で練習する。つまり、別学年とはほとんど接触しないようなやり方になっている。来年になって新入生が入ってきてから、中連の大会が終わるまでは、1、2、3年生の3つの区分けになった時でさえ、学年別に練習する。おそらく今時の中学はどこもそうなっているのだろう。
が、しかし今回の、トウ○○中A1軍は違った。一年生を混ぜてきた。先輩後輩の枠を超えて、タブーを破って、超えてしまった場合のリスクを承知で、卓球センス順の選抜の一軍で、そんななりふりかまわずの編成だった。
しかし、対戦結果は3-1で娘属する我がチームの勝利だった。
その後、決勝トーナメント2回戦。準決勝は常○○中とだった。3-1で勝つ。
常○○中は強い。お父さん評だが、北北海道内で実力ナンバー2の選手がいるチームなのだが、いかんせん常○○中は街中にある中学で、いわゆるドーナツ化現象でもって、学校全体の3学年合わせても60人くらいの人数しかいない。一学年は男女あわせて20人くらいだろうか。廃校や統合の噂がいつも浮上する中学校である。そんな中での卓球部編成なのである。団体戦に参加するための6人を工面して集めている様子がいつもうかがえる。この日はなんと5人での参加だった。6人ではなく5人での参加の場合は白星を一つ相手チームにプレゼントした状態からスタートする。本来は3つの白星を取らなければならないのだが、2つだけ勝てばいいのである。実力ナンバー2の大物選手を抱えているチームなのだが、最近の成績は決勝の手前で敗退することが続いている。残念な気持ちなのだろうなぁと思う。
そして決勝、決勝はシベツ○○中とだった。お父さん評だが、ここの管内でのチームとしては一番強いのではないかと思う。全員が強い。穴がない。そんな感じ。
試合が始まった。
先鋒のKちゃんは1-3で負け。次鋒のAちゃんは大接戦だった。2-2でファイナルセットになりデュースの末、負けだった。
対戦ゲームカウントは0-2。後がなくなった。
でも、3組目のダブルスは3-1で快勝。手前味噌な話だが、娘が属するチームはとにかくダブルスが強い。影のエースなのでる。ここらへん界隈では最強ではないだろうか。いつも安定的に勝利してくれるので、他のシングルスの子はのびのびと試合ができる。「1つ2つ負けてもいいや」という精神的に優位な状態で試合に臨めるからである。この日も多少手こずってはいたが終わってみると3-1の快勝だった。感謝の一言に尽きる。
対戦カウントは0-2 から 1-2 になった。反撃ののろしが上がった。
4番手の我がチームのSちゃんは相手のエースと対戦だった。なので、「あ ちゃ もうダメか?」と正直思った。
1セット取られ、1セット取り返し、また1セット取られ、そんでもって1セットを取り返した。2-2でファイナルセットになった。その後のファイナルセットはシーソーゲームになった。実力的には相手の方が上に見えた。ここまでよくまぁがんばったなぁという思いだった。まともに戦っては無理だと思ったのかもしれない。エースのプライドをくすぐるようにわざと相手にスマッシュを打たせて、ミスを誘い自滅を誘発させいるように見えた。Sちゃんの頭脳的な作戦である。だが、ポイントは 10-8のマッチポイントになった。絶対絶命である。がしかし、なんとSちゃんはその時、タイムを取った。卓球の場合、点数を足した合計が6の倍数の場合、タオルタイムを取っていいルールになっている。10-8なので足して18、18は6の倍数なのでSちゃんはタオルタイムを取った。試合が再開した。なんと、その後流れが変わった。10-10と追いつきデュースをもぎ取った。ナイスタイムである。追いついた瞬間、お父さんは思わず
「よっしゃぁー!」と、大声を出してしまった。
普段、黙って試合を静観するタイプのクールな観客なのだが、このときはさすがに声がでてしまった。その後2回デュースを繰り返しSちゃんは勝利した。Sちゃんも1年生の時から試合に出場している口なので、さすが他のチームの選手とは場数が違う。接戦になった時のメンタル面が強い、追いつくとSちゃんのほうに分があるのである。ファイナルの接戦というのは相手が打ち気なら、こちら側の気持ちを一歩引いて冷静に丁寧に対応し相手のミスを待つ。そして相手がひとたび油断をしたらアドレナリンが分泌する蛇口を全開にして獣のような気持ちに入れ替え怒涛のような攻撃を仕掛ける。このスイッチの切り替えのうまさが勝敗を分ける。卓球とは心の中にそういうジギルとハイドのような相反する別個の人格を育成し、言葉は適当でないかもしればいが,人格分裂症気味な自分を上手に引き出したり、コントロールしたりする心的な戦いなのである。
Sちゃんの成長が目立ったそんな試合だった。
卓球の腕前が上級者どうしになればなるほど、格闘技の試合を見ているようになる。Sちゃんも十分格闘家の仲間入りをしたように見えた。
いやーよかったよかったあぁ。
対戦カウントは 2-2 になる。
4番手のSちゃんの試合が行われている最中、試合の進行を早めるため最後の5番手の試合が空いている卓球台で平行して始まっていた。4番手よりも少し遅れた始まりである。5番手は娘だった。
4番手の白熱した試合を横目で見ながら、5番手どうしも接戦だった。隣でSちゃんが勝利した瞬間、娘の試合のセットカウントは2-2のイーブンになっていた。5番手同士のファイナルセットが始まる時、隣でSちゃんが勝利したのを娘は知る。勝敗の行方は5番手の娘に回された。娘は床にうずくまった。プレッシャーが娘に覆いかぶさる。プレッシャーに押しつぶされるように床に這いつくばる。そしてうずくまった。娘はプレッシャーに弱い。お父さんならこんなプレッシャーの場合、腹痛や胃痛や太ももの痙攣や不整脈や臓器不全みたいな苦痛という苦痛が一度に襲ってきて試合どころではなくなるだろう。しかし相手も同じ条件なのである。
この日の娘の調子は最悪だった。ドライブが相手コートに入らない。ここぞという時のドライブの切れがなく、ふかしてしまう。
さて、そんなプレッシャーの中、生気を失った青白い顔をした2人(相手の選手もプレッシャーに弱そうだった、笑)の娘っこ達の試合が、泣いても笑ったもこれで終わりの戦いが始まったのである。
でも最後のファイナルセットはワンサイドゲームになった。片方の選手が前半で異常な集中力を発揮しすぎたためか、後半、集中力が途切れてしまったのか、プレッシャーに極端に弱かったのかそうでなかったのか、分からない。原因は分からないのだが、終わった時のカウントは 11-6 だった。ワンサイドゲームだった。
お父さんは今も信じられない、勝ったのは娘の方だった。
試合が終わったあと、いつもは無表情の娘だが、満面にニヤニヤを隠し切れない様子でベンチにヨタヨタ戻る。3番手で反撃ののろしを上げてくれたダブルスのRちゃんとYちゃんががニコニコ迎えてくれた。さらにヨロトロと放心状態の娘を4番手で試合を引っくり返し勝敗の鍵をバトンタッチしてくれたSちゃんが介護士のように支えてくれた。
前回の優勝は楯だったが今回は優勝カップだった。
一年間学校で保管して来年またこの大会に返還しなければならない。子供達は初めて手にする優勝カップがめずらしそうだった。お金では買えないひかりものが目の前にある。そんな現実が不思議そうだった。人に与えられたものではなく、自分達で取りに行って獲得した、そんな戦利品の重さを確かめるように交代で持ち合おうとした。
そんな様子に思わずシャッターを押してみた。安物のデジカメのだったが彼女達の思い出の一コマを捕らえることが出来たかもしれない、そんなシャッターチャンスを見逃さなかったことにお父さんとしては父兄のおじさんとしては、正直言ってホッとしたし嬉しかった。
いやー なんだか、いい試合を見せてもっらった。どうもでした。
さて、娘が属するチームの連続優勝はまぐれなのか実力なのか。でも自分としてはそんなことはどうでもいい。これから先、多少、むちゃくちゃなことに出会っても、理不尽なことに出会っても、彼女達がへっちゃらな気持ちで対応してゆける自信を一つ持てるようになったのなら、大人としてはこんなにうれしいことはない。
というか、こういう臭いことを言うと今時の中2にはバカにされるのがオチなので、思いだけにとどめておきたい。そんな残念なお父さんの最近の出来事でありました。