君はオギャーと泣いて生まれてきた。
まるでこの世に生まれたのが悲しくて悲しくてしょうがないみたいだった。こんな親の元に生まれたことを嘆いているようにも見えた。
でも、お父さんの手のひらの中で、哺乳瓶にしゃぶりつく君の様子は死にたくないがために必死だった。死への回避行動をとる君に、痛々しいまでの生への執着、なにがなんでも生きようとする君になんだか感動を覚えた。
その時、大げさかもしれないがこう思った。
生きるとは死にたくないと必死になることだ。
君が生まれた時、いきなりそんなことを教わったのだ。自分の人生の指導者の誕生だった。
「君について行こう。」
そんなへんてこりんな事を感じた。