解読不能

5.高校生の頃

自分は字が汚い。お客さんから注文の電話をメモり、後から何を書いたかわからなくなることがある。解読不能、思い出せない時、お客さんに電話でその事を正直に説明すると、嫌がられるより、笑いをゲットできることに気がついた。皆さんもぜひ真似してみて下さい。

映画をレンタルし、夜布団に入りながら見ようと楽しみにしていた。DVDの再生をわくわくしながらスタート。でも次の日の朝、あれっ内容を覚えていないことに気づく。娘の証言、「お父さん 予告編の段階で寝てたし」。先日映画館でも「犯人はあなたです」が記憶の始まりだった。

ニュースキャスターが「おはようございます」と頭をさげると職業病で自分も条件反射的に頭をペコッと下げてしまう。そんな姿を隣で見ている娘に今の出来事をなんて説明したらよいのか答えが見つからないまま,とりあえず毅然とだけしとこうなどと場当たり的な考えにしがみつくような気持ちで白米を頬ばる。

ホット缶コーヒーを買おうと思い、コールドコーヒーボタンを押してしまった瞬間の自分は悪くないんだという言い訳を一瞬でも考えてしまう自分の心の狭さがいやでいやでしょうがなくなり、自戒を込めてきりきりとナーバスになっている胃袋に冷たい液体を改めて流し込む。そんな時のなんともいえない味。

昔の話だが私の高校入学時、バレーボール部の部活に入部する際、部活への勧誘の一度目は「入部の返事は保留させて下さい。」とか言って最初の勧誘は断り、何度目かの勧誘で断りきれない感がマックスに達した時、そしたらば入部しようと思っていたが、最初から誰も誘ってくれないので自分から入部した。

腰痛が持病の私に娘がめずらしく指圧してくれた。ありがたかった。でも爪が伸びているためいちいち爪が皮膚に刺さる。痛い。文句を言うともう腰もみをしてくれない可能性があるため気持ちがいいふりをしなければならない。でも痛い。親孝行している自分に満足気味の娘のドヤほほえみ顔が恨めしかった。

保険屋さんの橋本さんの趣味はテニスなのだが,ゲームをする前に必ず準備運動をする。体が硬いため大声で「痛タタタタタ!」と言いながら屈伸をし、「痛タタタタタ!」とアキレス腱を伸ばすポーズをする。怪我をしないために準備運動をしているつもりなのだろうが準備運動で怪我をしているように見える。

私が高校生の時、自殺ばかり考えていた。そんなことばかり考える程、繊細な心の持ち主であると自分で思っていた。なので血液型はさぞかしA型に違いないと信じていた。大人になりなんとO型だと判明し愕然とする。A型に憧れるOだったのだ。O型と判明した瞬間、我が青春の大事な思い出でが一瞬で消滅した。

私が高校の頃、バレーボールの最中、ブロックに飛び着地する時、歯がネットにひっかかり前歯がどっかに飛んでった。同僚が私の歯がないと大声を出したので試合は中断し審判も相手チームも歯を探し始めてくれたのだが見つかってもしょうがないので「いいっスから、ホントいいっスから」と歯のない顔で恐縮しまくった。

昔、私が高校の時、お寺で男女混合の合宿があった。そこのトイレは女子の部屋のすぐそばだった。なので大が女子にバレるのが嫌だった。なので男子4人が近所の喫茶店にわざわざ大をしに行った。当時換気扇はない。じゃんけんで勝った方から用を足しに行った。4番手の私は前3人分の臭気ぷんぷんたる空間に息を止め決死の覚悟で突入。用が済むまで息を止められるかが勝負所だったが残念、苦しくなり深呼吸。

仕事柄,夏場はエプロン姿でスーパーに買い物に行く。なので店員さんに間違えられてよく話しかけられる。否定するのは面倒くさいし生鮮や食料品に関してはお店の人より詳しいと自負しているので、笑顔でなりすまし対応することにしてる。お客さんの喜ぶ顔が逆にうれしい。が、いつか誰かに怒られるような気がする。

昨日スーパーのレジで会計してると50円玉がおちていたので、正直に「落ちてましたよ」とレジの人に渡した。しかしふと振り返ると後ろに並んでいた男の人が笑いを必死にこらえている。その瞬間、全ての事情を察知した。おそらく自分が落とした50円だったのだ。返してくださいとは言えなかった。

よく行くスーパーのレジで会計する際、あるレジのおばさんが色目を使ってくるので、あやまちがあってはいけないと思い、極力、他のレジに行くことにしているが、急いでる時に限って、お釣りを投げるようにしてよこす若い女の子が担当するレジか、はたまた、色目おばさんの2つしか空いていない。

銀行のATMで20万円下ろした。通帳記録を見ながら玄関を出る。その際、襟の大きなシャツを着て剃り込みも入ったいかにもチンピラ風って感じの男とすれ違う。しばらくしてその男が「おーい!」と血相を変えて追いかけてきた、手には札束を掴んでいた。私が取り忘れた20万だった。いい奴だった。

メガドンに娘と買い物に行きエレベーターに乗り込み「閉まる」と間違えて非常ボタンを押してしまった。警報が鳴り関係者や野次馬が集まる。「すいません」を100回くらい言って謝った。さてその間、娘はというと、遠くの方にいて終始、無関係者を装い、傍観者としての立場を全うしようとしていた。

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