高校入試合格発表

5.高校生の頃

もうすぐ発表である。

あと2日くらいで、娘の第一志望の合格発表がある。発表はインターネットで見れるらしいのだが、娘は肉眼で確認したいらしい。その日のその時間帯、お父さんは、むちゃくちゃ仕事が忙しいのだが、

「一緒に付いて来て欲しい」と言う、本人の希望だったため。

しゃーないので、仕事をほっぱり投げて発表に付き合おうと思う。

 今の時点で第2志望と第3志望は内定しているので、背水の陣という訳ではなくなった。

 発表の日、内輪でパーティを計画している。 字幕は「お祝いパーティー」である。 裏側に「残念パーティー」と書くつもりでいる。 落ちたら、「残念パーティー」にすぐ切り替えられるようになっているところが、われながらすばらしい臨機応変的発想だ。 さあ、娘は勝負に勝つのだろうか、それとも、、、、

 そして、本日娘との合格発表に行ってきました。

雪解けが急ピッチで進む昨今、そして午前十時、合格発表の敷地内への入場が解禁された。大勢の人間が掲示板に近づいていく。

我々もそれに続いた。

図体のでかいお父さんは、近づくにつれ、合格番号が鮮明になってくる。

「519」番を探した。

上背と視力に自信のあるお父さんは最初に番号を見つけた。

「あった!」と思ったが。無言で後ろを振り向いた。

娘はまだ気がついていないみたいだった。番号を必死でさがしている。

 娘が自分で見つけて喜ぶ顔を見たかったので、お父さんが最初に気づいたことを悟られないようにした。というか、自分自身で見つけて欲しかった。親が「あったよ!」というような、そんなおせっかいを絶対にしたくなかった。うまく言えない。うまく言えないのだが、自分自身で見つけて欲しかった。頑張ったのは本人であり、その頑張りの総決算までを己(おのれ)自身で完結して欲しかった。こんな時、親のおせっかいは子供がせっかく頑張った成果を台無しにしてしまう行為でしかない。親のおせっかいは「百害あって一利なし」でしかない。自分はそう思ってしまうタイプなのである。そう思うから、だから瞬間的にそんな行動になってしまったように思う。

が、次の瞬間、娘の顔満面が喜びに変わる。

「よっしゃー!」

空手家のように拳を前に突き出し寸止した。

「さ おじいちゃんと、おばさんに、すぐ報告の電話をしなさい」と、お父さんにうながされると、娘は携帯電話を取り出し、電話をかけようとしたが、

「かけ方がわからん!」

最近娘は念願のスマホを買った、でも、まだ使い方を把握していない、それ程、買いたてのホヤホヤだった。

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