一瞬の夏

アホみたいに忙しいお盆が去った。

お父さんは ほとんど 起きてる間中 仕事してた感じだった。夜、クタクタになってくるので 酒を飲んで身体を麻痺させて仕事するのである。アルコールが入ると 不思議と身体の疲れが楽になる。我々商売人は時間がないためチビチビ飲む暇がない。短時間で酔う必要があるため、一気にアルコールを胃袋に流し込む。この習慣がどれだけ自分の身体を蝕むか頭では分かったいる。この悪しき習慣が原因で突然死した仲間を何人も見ている。仕事が終ると疲れと酔いでヘロヘロになっている。布団に入ろうとすると、今日お父さんに、あんまりかまわれなかった娘が絵本を持ってくる。

「ねえ おとう? 絵本読んでー」

「勘弁してくれ!」と言いたいとこだが

娘が持ってきた絵本は、どんなに疲れてても、どんなに眠たくても読むという誓いを心の中で立ててしまっている。

誓いを破るわけにいかない。

アルコールの臭いをプンプンさせながら全身にムチ打ち気力を振る搾るように絵本を読むお父さんは 君にどう映っているのだろう。勉強を教えたり、運動をしたり、しゃべったり、普通の家庭より圧倒的に子供に費やしてあげられる時間が少ないため、絵本を希求してきた時だけは、どんなことがあっても、読んであげようと思っているのだが...
でも 酒くさくて 酔って目の焦点が定まらないお父さんのリーディングは将来の君に光と影の両方を与えているのだろうか。

 娘はと言えば、せっかくの夏休みだったが、ほとんど学童会で時間を過ごした。
でも、この夏、もぐれるようになった。プールの壁を使ってロケットスタートもちょっと出来るようになった。もぐってビート版をくぐれるようになった。水の中でお父さんとジャンケンもできるようになった。水に顔も漬けれなかった夏休み前とは断然の成長と言える。


娘 一瞬の夏だった。

タイトルとURLをコピーしました