昨夜娘と絵本を読んだ後、もう遅かったので、
父「さ 早く寝よ!」
娘「まだ寝たくない!」
父「もう遅いから寝なさい!」
娘「眠たくない!」
父「じゃ目つぶって 口にチャックしなさい!そのうち寝れるから!」
娘「やだ 寝たくない!」
父「じゃ おばあちゃんの部屋に行って寝なさい!」
この最後のお父さんのセリフはとても腹たちまぎれで、語気も強かった。娘は泣きながら自分の丹前を引きずり、
「もう おとうの腰なんか もまないからね! 仕事ぜったい 手伝わないからね!」と悪態と捨て台詞を残しておばあちゃんの部屋へ行ってしまった。
お父さんの布団から家出をするのは昨夜が初めてのことだった。
きっとこれから彼女が長ずるにつれこの家出の距離は長くなって行くのだろう。こんな時、父親に抵抗する力が付いてきたと喜ぶべき場面なのかもしれないのだが、寂しさらしきものに圧倒的に支配されてしまう人間の神経構造の弱さに 我ながら愕然となる。喜びと寂しさの2つの複雑な親父ならではの心境を味わいたいところなのだが、いかんせん寂しいという たった1つの感情だけが膨らむばかりである。
お父さんと 一緒の空間に居たくないと初めて思った、娘、小学1年生の冬だった。