昔、一番乗りの誰もいない教室が大好きだった。教室の空間はなみはずれて人間的な感じがプンプン漂っていたからだと思う。親になり、娘の授業参観に行くと、当時のあのプンプンが甦ってくる。授業参観は楽しみの1つだったのだが、、、
でも娘は振り向かなかった。授業参観で後ろを振り向かない子供だった。大勢のお母さんの中に父親がいることの間抜けな感じは、彼女にとって振り向きたくもない悲しい現実だったのかもしれない。なので、なんとかして寂しい思いを心のど真ん中から理解してあげられる、そんな気のきいた愛情あふれる親になろうと思った。思ったのだが、どうしてどうして、どうにもこうにも、そんな離れ業はノーテンキな自分の能力をはるかに超えるものだった。