Y君

5.高校生の頃

卓球部のY君はカットマンでる。人気が抜群の理由はファインプレーを連発するからだ。ナイスプレーの連続なのだが、でもよく見ると無駄な動きが多すぎるためどんな普通のボールでも彼にかかるとビックプレーになってしまう。対戦相手がどんなに弱くても全て白熱戦となる。例え相手が小学2年でも.

カットマンのY君は見せる卓球をする。180cmの長身をクネクネさせ所狭しと縦横無尽に走り回る。スマッシュレシーブはフィギュアスケーターのようにクルッと回転が入る。観客が湧わく。拍手が起こる。まるで華麗な舞を見ているようだ。そんな彼が勝てる卓球にシフトチェンジする日はくるのだろうか

カットマンY君の人気は赤丸急上昇である。往年の長身カットマン松下浩二を彷彿とさせる。我々日本人の心情にあっているのだろう、攻撃せず防戦一辺倒の卓球スタイルは彼を知らない人間までもが感情移入し応援してしまう。そんな彼に残念ながら1つだけ足りないものがある。それは勝利の予感だ。

カットマンY君は球技大会ではりきりすぎて腕を複雑骨折してしまった。病院送りとなり入院するはめになった。だが偶然次の日から学校は春休みに突入だった。本人はその偶然を幸運と表現していたらしい。

カットマンY君は怒っていた。「最近の一年生はたるんでる。上級生に合っても挨拶もしない」という議題を2年生の集まりでぶちまけた。その後、他の証言からY君以外の先輩にはちゃんとあいさつしていることが判明。落としどころのなくなった振り上げた怒りの拳(こぶし),その拳で自分自身を拳固したどうかは定かではない

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