図星

5.高校生の頃

娘は風呂場でノーテンキなまでによく歌を歌っている。「風呂場は反響してエコーがかかったみたいいなるから、どんなにヘタでも上手く聞こえるんだよ」。そう言うと娘の表情が止まった。止まった表情はお父さんが放った言葉の矢が実力を過剰に過信している娘の図星に命中したことを物語っていた。

最近娘は毎日夜なべしている。勉強中シャープペンを握りしめながらテーブルにうっぷして寝ていることがよくある。まるで志しなかばで行き倒れた勤王の志士のみたいだ。今度シャープペンをおもちゃの刀に持ち替えさせ撮影を試みたら面白いのではないかと睨んでいる。この場を借りてアップしてみたい。

小学校に上がる前、娘はかくれんぼが好きだった。そして鬼になるのが好きだった。がしかし、お父さんが隠れていると娘は他のことに興味が移ってしまい、隠れているお父さんは関係なくなっていた。

娘は勉強法を変えた。夜ふかしでなく、うんと早く就寝し朝方に起きてやる朝方勉強法に挑戦している。しかし案の定,朝方起きれない。結局同じ時刻に起床している。なのでほとんど勉強しないのと同じになった。たっぷり睡眠をとり健康的な生活を送る人間特有のすっきりした寝起きの顔が笑いを禁じえない。

娘が慌てていた。「携帯がない!マジでない!頼む電話かけて見て!はやく!」と血相を変えていたので、私の電話から発信する。まもなく着信音が聞こえた。とりあえずどこかにあることは確かになったのでホッとする。音源を探した。娘が今履いているズボンの左ポケットからだった。

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